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臨床動作法(心理リハビリテーション)キャンプに参加しました


自然豊かな呉の山奥。グリーンヒル郷原。


その広い研修室いっぱいに敷かれたマット。


ジャージに身を包んだメンバーたち…。


私にとって、夏のおなじみの光景です。


私がこのキャンプに初めて参加したのは、2015年のこと。コロナ禍などもありましたが、今年で11年目。9回目の臨床動作法のキャンプ参加になります。




臨床動作法って?


臨床動作法は、脳性まひを持つ人たちの身体の動きの改善を目指す心理療法として始まった、日本生まれの心理療法です。


臨床動作法では、トレーニー(被援助者)とトレーナー(援助者)がペアになり、身体の動きを通した課題に取り組んでいきます。


「身体の動きを改善する」と聞くと、運動やリハビリテーションを思い浮かべる方が多いかもしれません。


しかし、臨床動作法で大切にしているのは、身体を思い通りに動かすことだけではありません。


動作法では、


「自分の身体は今、どうなっているのか」、「自分は、どのように身体を動かしたいのか」


という問いに向き合います。


「身体を動かす」という生き物として根源的な活動を起点に、自分の感覚や体験に深く向き合っていく。その過程は、自分らしい活動、ひいては自分らしい生き方を支える営みでもあります。​


つまり、身体の動かし方を扱うことを通して、その人の体験や心に触れていく心理療法なのです。




言葉だけが、人と人をつなぐわけではない


今年は初めて研修係を担当して講義資料を作りました。また、サブトレーナーとして、様々なトレーニーとトレーナーの関わりを見守る機会もありました。


そこで印象に残ったのが、動作法の時間だけではなく、トレーニーとトレーナーが一緒に過ごす時間そのものでした。


発語のないトレーニーさんもおられますが、言葉で尋ねて、言葉で答えてもらうことができないからこそ、視線や表情、身体の動き、ふるまいなど、様々なものに意識を向けていきます。


動作法の時間だけではありません。食事をしたり、移動したり、休憩したり。短い期間ではありますが、生活を共にする中で、その人のことを少しずつ知っていきます。


そうして一緒に過ごしていると、ふと「伝わった」と感じる瞬間があります。


同じ体験をして、何かが伝わる。その積み重ねの中で、少しずつ関係が深まっていく。


その様子を見ていると、人と人との関係をつくるのは、言葉だけではないのだと改めて感じます。




11年経っても変わらないもの


今回、もう一つ印象に残ったことがあります。


それは、11年経ってもキャンプの空気感が変わらないことです。


うまく言葉にはできないのですが、私はそこに、このコミュニティの「魂」のようなものを感じました。


場所があり、制度があり、毎年キャンプが開催できる。それだけでは、「今年もここに来た!」とは多分思えない。


じゃあ、「このコミュニティの魂」、「このキャンプらしさ」ってなんだろう?と考えました。


そんなときに、キャンプの終わりに、学生さんたちがトレーニーさんとの時間を振り返る姿を見て、「ああ、私はこれを見に来るためにも参加しているのかもしれない」と思ったりしました。


初めて参加した学生さんたちが、どうすればいいのか分からず悩みながら、それでも相手のことを知ろうと、一生懸命に、一つひとつの動きや仕草に意識を凝らす。


そして、キャンプが終わる頃になると、


「参加してよかった」


と、涙を流しながら話してくれることがあります。


その姿を見ていると、これがこのキャンプらしさなのかもしれない、と少し思いました。


人と人が触れ合い、お互いの心を想うこと。


治療の対象としてだけではなく、様々な側面を持つ一人の人間として相手を知ろうとすること。


そうした一人ひとりの関わり方が積み重なって、「このコミュニティの魂」が形作られているのではないかと思いました。


もちろん、こうした場を長く維持していくこと自体、とても大変なことです。それでも、こうして人から人へ受け継がれていくものは、とても大切なのだと感じます。




第50回という節目に


コロナ禍で開催できない年もありましたが、広島の臨床動作法キャンプは、今年で50回目を迎えました。


11年前、初めて参加した私は、たくさんのことを教えてもらい、たくさんの人に支えてもらいました。


当時の自分の感想を読み返すと、「体験の共有には必ずしも言葉が必要なわけではない」と書いていて、11年経った今も、結局そこに戻ってくるのだなと思いました。


しかし、時代は変わり、情報や刺激にあふれ、より効率よく物事を進めることが求められるようになりました。


私にはこのキャンプが、以前よりもずっと貴重で、得難いものに感じるようになりました。


第50回という節目のキャンプに参加し、11年間かけて自分が受け取ってきたものを改めて振り返ることができました。このキャンプで学んだことは、臨床動作法の技法だけではありません。


また来年のキャンプを今から楽しみにしている自分がいます。

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