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『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』

今回感想をお話ししていく本は、

『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』

坂口幸弘/赤田ちづる 著 です。


この本は、大切な人との死別を経験した人が、

その悲しみとどのように向き合っていくのかを、

28通りのヒントとして紹介している一冊です。


ぱっと見た印象では、対処法をまとめたハウツー本のようにも見えます。

けれど読み進めるうちに、対処法そのものよりも、

「悲しみの多様性」を丁寧に描こうとする姿勢が見えてきます。


一貫して語られているのは、「悲しみ方は人それぞれである」という前提です。


悲嘆の深さや表れ方、立ち直りの速度に正解はなく、

まずは自分なりの悼み方を肯定することから始めてよい、と何度も丁寧に伝えてくれます。


その温かなまなざしに、ぽっと安心感が灯るのを感じました。


死別という出来事は、

しばしば「どのように乗り越えるべきか」という問いと結びつきがちです。


けれど、この本は悲しみに暮れる人のこころを置き去りにして、

解決策だけを示すようなことはありません。


同時に印象的だったのは、ただ「それでいい」と放任するのではなく、

「もし心身の健康を損ねるほどつらい状態が続くなら、こうした方法を試してみるのも一つです」

と穏やかに提案してくれるところです。


悲しみを尊重しながらも、「あなたのことを心配しています」と

そっと声をかけてくれるような一冊でした。


大切な人を亡くした方はもちろんですが、

身近な人の悲しみにどう寄り添えばよいのか迷っている方にとっても

この本は、夜道を歩くときの月明かりのように、

静かに足元を照らしてくれる一冊になるのではないでしょうか。

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